谷口の歴史は、挑戦の歴史。
それは、終戦まもなくの暗中模索からはじまりました。
私たちは1947年の創業以来、「木」にこだわり続けてきました。婦人靴のヒールや和傘のロクロ製作に取り組みながら、努力と研究を積み重ね、時代に合った木製品は何かを模索して行き着いたのが碁笥(碁石の器)でした。この、初代の谷口正太郎が情熱を注いだ碁笥は、全国シェアの60%を占めています。このことに誇りを感じ、伝統の職人技を次代へつなぐ製品作りをしています。
しかし時代の移ろいとともに、お客様のニーズは変化し続けており、昔ながらのものづくりを継承しているだけでは、取り残されるばかりだと感じるようになりました。そこで木に対する自分たちの思い込みやルールを払拭し、新たな時代の感性を融合させて生まれたのが、2009年に誕生した「縫える木」です。木の可能性を追求した末に開発された「縫える木」には、新しいアイデアとともに伝統の技が使われました。時代のニーズに応えた製品にも、職人が培ってきた技術が生きているのです。
木製工芸品の素材となるのは、日本の銘木です。当社では、原木の選定から製材、乾燥、加工、仕上げまでの工程を一貫して行っています。製品ごとに適した素材を見極め、樹種に合わせて厚みを変更するなど、木の特性を生かした加工ができるのは熟練の職人の技の賜物です。材料選びをするときは、杢目の表情を考慮したり乾燥具合を見極めたりと、経験でしか培うことのできない知識も必要となります。また、木は自然の産物のため、それぞれに個性を持っており、ときには特殊な杢目の樹種もあります。そしてどの木製工芸品も、最後の仕上げは職人の手で行われています。